GALATA COFFEEの隆志です。
先日、自転車で乙字ヶ滝を訪れた。
須賀川市と玉川村の境にあるこの滝は、阿武隈川が広がりながら一文字に流れ落ちる風景が印象的で、「東北のナイアガラ」と呼ばれることもあるらしい。
正直なところ大袈裟だとは思うが、その気持ちは意識の奥に投げ捨てておこう。
滝のそばには石碑が建っている。松尾芭蕉が『奥の細道』の旅でこの地を訪れたときに詠んだ句が刻まれている。
五月雨の滝降りうづむ水かさ哉
芭蕉も私と同じように、流れに心を吸い込まれながら、その一瞬の風景を胸に刻んだかと想像すると嬉しい。
自転車で来たことで、体が熱かったため、余計に音も風も肌に感じられた。景色はただ美しいだけでなく、「今ここにいる」という実感を与えてくれる。日常から少しはみ出したとき、人はかえって、自分の輪郭を思い出すのだろう。
そんなことを思いながら、滝の音に耳を澄ませていると、一羽の鳥が流れの向こうへ飛んでいった。ここで一句と思ったが、何も思いつかなかったので、帰ってからChatGPTに詠んでもらった俳句を紹介する。
くぐもれる滝のこゑまた夢に似て
意味はよくわからないが、何かいい気がする。それでいい。
