福島の狩猟シーズンも残り1週間。最後の猟で狙いと違う海ガモを獲ってしまった狩猟おじさんは、燻製にして食べられるか挑戦します。同じ日、罠にかかったのはハクビシン。こちらもさばいて食べてみると、結果は予想と正反対でした。
この回では、野生の肉の味が「何を食べて育ったか」でどれほど変わるのか、臭い肉や硬い肉に当たったとき猟師がどう工夫するのかを、実体験から語っています。ジビエに興味がある方、狩猟の現場を知りたい方におすすめの回です。
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この回の話題
| 時間 | 話題 |
|---|---|
| 00:35 | 福島の狩猟期間はあと1週間。今シーズンを振り返る |
| 02:11 | 鳥猟の最終日、狙っていない海ガモを獲ってしまう |
| 03:48 | マガモ・カルガモ・海ガモ。食べている物で味が変わる |
| 05:14 | 海ガモを燻製に挑戦。その結末は |
| 08:16 | 同じ日、罠にかかったハクビシン |
| 09:00 | タヌキ汁の正体? タヌキとアナグマの話 |
| 12:42 | ハクビシンを焼いて食べた結果 |
| 13:07 | ジビエの個体差。オスとメス、季節、住む場所 |
| 14:38 | 臭い肉・硬い肉をどう活かすか |
狩猟シーズン終盤、最後の鳥猟で獲れたのは「海ガモ」
収録は3月7日。福島県の狩猟期間は3月15日までで、残り1週間というタイミングです。今シーズンは講演や執筆などの活動が忙しく、山に入る回数は例年より少なめでした。それでも、カモやキジ、ヤマドリを撃つ鳥猟の期間(2月15日まで)を終えてみると、カモは10羽ほど獲れていて、食肉はしっかり確保できたそうです。
鳥猟の最終日、群れを狙って撃ったところ、当たったのは狙いとは違う海ガモでした。海ガモは普段は海に潜って魚を食べるカモで、たまたま淡水の湖に普通のカモと一緒にいたのです。
食べている物で、カモの味はこんなに違う
野生の肉は「何を食べて育ったか」で味が大きく変わります。
- マガモ:土の中の虫や水草などを食べる。味はレバーにたとえられることが多く、スーパーで買える合鴨とはまったく別物。イタリアンやフレンチで重宝される
- カルガモ:道端で見かけるので抵抗を感じる人もいるが、田んぼの稲を食べる害鳥でもあり、味は悪くない
- 海ガモ:魚を食べるため身が生臭く、昔から「おいしくない」と言われてきた
燻製にしても、食べられなかった
さばいた瞬間から、魚が傷んだような匂いがしたそうです。「燻製にすれば匂いが取れるのでは」と考え、丸1日の塩漬け、塩抜き、天日干しと2日半かけて下ごしらえ。大型のスモーカーでクルミや桜のチップを使って燻しました。
匂いはだいぶ和らいだものの、口に入れると「食べられない」レベル。それでも捨てるのはしのびなく、もう一度2日かけて塩を抜き、薄切りにしてフードドライヤーでカチカチに乾燥。最後は犬用のおやつになりました。犬は喜んで食べたそうです。
ハクビシンは食べられる? 実際にさばいて食べてみた
海ガモを獲った日、家に帰ると罠にハクビシンがかかっていました。いわば「招かれざる獲物」が重なった日です。
狩猟おじさんはこれまで、アライグマは食べたことがあるものの、キツネは食べる気になれず、タヌキは硬くて言われるほどおいしくなかったそうです。ちなみに昔から言う「タヌキ汁」は、実はアナグマのことだったという説があり、アナグマはとてもおいしい肉なのだとか。ただ、福島では数が少なく、ほとんど獲れないそうです。
雑食の獣は臭い、というイメージ
ハクビシンは家に住みついたりゴミをあさったりする害獣で、雑食の動物は匂いがきついだろうというイメージがありました。これまでは皮と頭を扱うだけで、食肉としてはきちんと試したことがなかったそうです。
ただ、狩猟おじさんが罠をかけているのは、自宅の近くや、仲間の農家から頼まれた畑のまわり。そこで獲れるハクビシンは山の木の実などを食べているはず。「もしかしたら」と、初めて食肉としてさばいてみることにしました。
匂いは強烈、でも焼いたら「割とおいしい」
さばいた瞬間の匂いは、果物が傷んで発酵したような独特のもの。一人で食べる勇気が出ず、仲間を誘って「ハクビシンパーティー」を開きます。
ところが焼いて食べてみると、これがおいしい。脂にフルーティーな甘みがあり、肉もそれほど硬くならない。「悪くない」どころか「割とおいしい」と思うほどで、思っていたよりたくさん食べてしまったそうです。
ジビエは一頭ごとに味が違う
イノシシでもシカでも、さばいた瞬間から匂いがする個体もあれば、そうでない個体もあります。違いを生むのは次のような要素です。
- その個体の食べ物の好みと、住んでいるエリア
- オスかメスか(脂ののり方はメスの方が良いことが多い)
- 季節。3月の終わりごろからは繁殖の時期に入り、体が痩せ、特にオスは肉に匂いが出やすくなる
臭い肉、硬い肉に当たったら
思うような肉が獲れなかったときに捨てるのではなく、どう食べるかを考えるのも猟師の仕事であり、楽しみだと狩猟おじさんは言います。
- 匂いが強い → 燻製にする、カレーなど香りの強い料理にする、香りの強い食材と合わせる
- 硬い → 圧力鍋を使う、じっくり煮込む
- それでも人が食べられない → ペットフードにする
「こういう肉しか獲れなかった、ではどう食べようか」と考え続けること自体が、ジビエの魅力の一つなのかもしれません。
※ジビエは中心部までしっかり加熱して食べましょう。
印象に残った一言
「こういう肉しか獲れなかった、じゃあどう食べようか」と考えるのも、一つの楽しみ。
出演者
- 狩猟おじさん:狩猟・作家・話師。福島で半自給自足の暮らしを送る
- 沢田隆志:GALATA COFFEE。生まれてからずっと食料はお店で買ってきた都市育ち
