第35回は、前回のミツバチの話の続きから。猟期が終わった春、狩猟おじさんの半自給自足の暮らしは、畑仕事や山菜採りの季節に移っていきます。
ジャガイモから始まる畑、会津での山菜採り、梅酒や味噌、わなの餌から始めたぬか床。そして、マンションやアパートでもできる「ちょっとした自給」が、心の余裕や安心感につながるという話を聞きました。
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この回の話題
| 時間 | 話題 |
|---|---|
| 00:30 | 巣箱を増やせば、蜂蜜は困らない? |
| 01:30 | 猟期が終わったら、畑仕事へ |
| 02:00 | 冬を越すのは玉ねぎだけ |
| 02:30 | ジャガイモから、夏野菜へ |
| 03:00 | 夏は、剪定と草取りと収穫 |
| 03:40 | 山菜採りは会津へ |
| 05:00 | ふきのとう、タラの芽、うど、こごみ |
| 05:40 | 春は渓流釣りも |
| 07:00 | 梅酒、カリン酒、味噌 |
| 07:20 | わなの餌の米ぬかで、ぬか床を |
| 08:00 | 蜂の巣から蜜ろうをとる |
| 08:40 | 米ぬかで石鹸も? |
| 09:40 | 自然のものでできる知恵は、防災にもなる |
| 10:30 | 震災のとき、お金があっても物がなかった |
| 11:20 | プロじゃないからこそ、失敗も伝えたい |
| 12:20 | 最初の一歩は、100円ショップの水耕栽培 |
| 13:00 | プランターでミニトマト |
| 13:50 | 部屋の中でキノコを育てる |
| 14:30 | 少しでも家に食べ物があると、余裕が生まれる |
| 16:00 | 季節ごとに「とれる場所」を知っておく |
| 17:20 | 人は本能的に、土に触れたくなる |
| 19:00 | 次は、春の旬の話を |
巣箱を増やせば、蜂蜜は困らない
前回話した、冬に巣箱を開けて刺されたミツバチ。2段分を絞っただけでも、蜂蜜は本当にたくさん採れたそうです。6段の巣箱1つに定期的に巣をつくってもらえれば、1〜2年分は楽々。巣箱をもう1つ2つ置いて、どこかに入ってもらえるよう回していけば、蜂蜜には困らないのではないか、と狩猟おじさん。初めての蜂蜜は面白かったので、今年も続けるつもりです。
猟期が終わると、畑の季節
冬の間、畑でしていたのは、秋の終わりに植えて冬を越し、初夏に収穫する玉ねぎくらい。猟期が終わるころからは、ジャガイモの植え付けに始まり、ニンジン、トマト、キュウリ、ナス、ピーマンと、夏野菜をどんどん植えていきます。畝ごとに作物を分けて育てているそうです。
夏が近づくと、実を大きくするために余分な枝を切ったり、草を取ったりと忙しくなる。実がなり始めれば、今度はあちこちで収穫。キュウリは1日取り忘れると、お化けのように大きくなってしまうのだとか。
山菜採りは会津へ
春は山菜の季節でもあります。昔はあちこちを回っていましたが、今は会津のほうの、雪解けのあとにいろいろな山菜がひと山でとれる場所に、2時間ほどかけて通っているそう。時期は3月の終わりから4月。ふきのとう、タラの芽、うど、こごみ。時期を逃すとアウトなので、毎年狙って採りに行きます。
春先には海釣りや渓流釣りにも出かけます。山あいの川はクマが出ると言われる場所で、ラジオを鳴らして気をつけているそう。釣りに銃は持っていけません。自分の口に入るものは、なるべく自分で。時間があれば、その時々の旬のものを手に入れています。
梅酒、味噌、そしてぬか床
梅の時期には梅酒、カリン酒も。味噌もつくります。今年はぬか漬けにも挑戦。イノシシの箱わなの餌に米ぬかを使っていて、家に大量にあることから、ぬか床づくりを始めたのだそうです。
蜂の巣も、煮込めば蜜ろうがとれる。残りかすは畑にまき、甘い香りの煮汁はペットボトルに入れて、次に蜂を呼び寄せる誘引剤にする。米ぬかは石鹸にもなるらしい、と、まだ試してはいないけれど興味は尽きません。ひとつやると、芋づる式に次のことが出てくる。それが楽しいのだそうです。
自然のものでできる知恵は、防災にもなる
こうした知恵は、防災にもつながると狩猟おじさんは話します。防災グッズをそろえるだけでなく、何も持たずに外に出てしまったときに、これは食べられる、こうすれば水がつくれる、と知っていること。震災のとき、お金があっても物がなく、菓子パンとカップ麺しか売っていなかった。そんなとき、ゼロではない、という安心感になります。
自分はサバイバルのプロではない。でも、調べながら実験のように試していく過程が楽しいし、それを発信していきたい。こんなおじちゃんでもできるんだから、と。うまくいかなかったことも、肉がおいしくなかったことも、たくさん経験しているそうです。
最初の一歩は、100円ショップから
いきなり蜂や狩猟は難しい。最初の一歩におすすめなのは、100円ショップでも売っている、水だけでサニーレタスのようなものが育つミニプランツ。家の中で育てて、切ればちゃんと食べられる。次は小さなプランターでミニトマト。割り大根の再生栽培も、意外と全員が成功するわけではないそうです。
部屋の中でできるものもたくさんあります。シイタケやナメコのキノコ栽培キットは、袋に入れて置いておくと、ぼこぼこと生えてくる。米の備蓄と災害用の水に加えて、水耕栽培の野菜やキノコが少しでもあれば、お味噌をつけて数日はしのげる。大きな土地や一軒家がなくても、ちょっとした自給はできるのです。
ちょっとずつ増える安心感
買いだめしなきゃ、と焦るのではなく、次はこれを備蓄してみよう、これを育ててみよう、と少しずつ安心感が増えていく。外に出れば、この時期のこの山なら栗、この時期は梅、春先なら山菜、と知っておくことも、心のよりどころになる、と狩猟おじさんは話します。
都会の人がわざわざ農業体験や収穫体験に集まるのは、人が本能的に自然の中にいたい、土に触れたいと感じているからではないか。土のないマンションやアパートでも、自分にできる範囲で育てて収穫する体験は、心をちょっと変えてくれるはず。ベランダで蜂は無理でも、ホームセンターに行けばいろいろある、と隆志さんも乗り気です。
印象に残った一言
こういうものを育ててみようかなとか、そういうところになっていって、ちょっとずつ安心感が増えていくっていうのかな。
前後の回
出演者

- 狩猟おじさん:狩猟・作家・話師。福島で半自給自足の暮らしを送る。Instagram / note
- 沢田隆志:移動販売の珈琲店「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。生まれてからずっと食べ物はお店で買ってきた都市育ち
番組と出演者の詳しい紹介は、GALATAの番組ページへ。
