狩猟期間は、縛るためではなく守るためにある。冬に猟をする理由と、ミツバチの越冬|狩猟おじさんのおじラジ #34

狩猟期間は、縛るためではなく守るためにある。冬に猟をする理由と、ミツバチの越冬 ポッドキャスト

第34回は、前回の「ジビエも選択肢のひとつ」という話の続きから。アライグマやハクビシンがなぜこんなに増えているのか、という話題をきっかけに、夏に獲れた肉が食べにくい理由、そして狩猟期間がなぜ冬に決められているのかへと話が広がりました。

駆除隊員として季節を問わず獲物と向き合うようになって、狩猟おじさんが実感した「狩猟期間の意味」。後半は、猟期が終わったあとの畑仕事と、去年から始めたミツバチの話です。

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この回の話題

時間話題
00:35ハクビシンとアライグマは増えている
01:05アライグマは、人が持ち込んだ外来種
01:21原因をつくったのは人
02:01どこからを「自然」と呼ぶか
02:25アライグマとハクビシンの味
02:58タヌキだけは硬かった
03:37アライグマとハクビシンの駆除
04:40わなを増やした今季
04:53夏に獲れた肉は、食肉にしにくい
05:373月の終わりから難しくなる
06:01処理施設がないということ
07:06寒いとダニの動きが止まる
07:55駆除隊員になって知ったこと
08:26病気の動物を目の当たりにする
09:29狩猟期間の「整合性」
09:52クマやヘビのリスクも、冬は小さい
10:37昔からの、理にかなったリスク管理
11:49雪山をひとりで追う忍び猟
12:20雪のない冬は、山に入らなかった
12:53今季の肉のストック
13:36猟期のあとは、畑仕事へ
14:19ミツバチの一年
15:44冬に巣箱を開けて、刺された
16:35春の分蜂

アライグマは、人が持ち込んだ

ハクビシンやアライグマは、ものすごい数で増えているそうです。特にアライグマは、もともと日本にはいなかった動物。ペットとして輸入されたものが人里に放され、増えていきました。魚でいえばブラックバスのような感覚です。

駆除というと「かわいそう」と言われることもある。でも、その原因をつくってしまったのは人。人がやったことなら、その後始末も人がなんとかしなければいけないのではないか、と狩猟おじさんは話します。一方で、外来種がいる場所はもう自然ではないのか、どこからを「自然」と呼ぶのか。難しいところでもあります。

果物を食べる動物は、肉がやわらかい

食べてみると、アライグマもハクビシンも、肉質や味はそれほど変わらなかったそう。どちらも果物などを食べているからか、肉は普通にやわらかく、おいしくいただけたといいます。一方で、タヌキだけは硬く、野性味あふれる血のにおいが強くて、鍋にしてもちょっと引いてしまったのだとか。

狩猟おじさんの地域では、アライグマは圧倒的に多く、畑を荒らすのもたいていアライグマ。ほぼ間違いなく有害鳥獣駆除の対象になります。ハクビシンはこの地域では数が少なく、対象になる期間が限られています。今季は本気で、わなの数を増やし、箱わなも買い足しました。

夏に獲れた肉は、食肉にしにくい

ただ、夏場の有害駆除で獲れたものは、基本的に食肉にするのが難しいそうです。腐りやすく、ダニなども活発で、病気がうつるリスクも高い。狩猟おじさんは、冬場に獲った肉を真空パックにしてストックしていますが、3月の終わりから、秋に猟期が始まるころまでは厳しいといいます。

低温で処理できる施設があれば通年でも扱えますが、狩猟おじさんの解体場は手づくりで、獲物を吊るしてさばく形。基本的には獲ったその日にさばいて、冷凍できる状態まで持っていきます。外の気温がある程度低くないと、質も落ち、何日も置けば腐ってしまうのです。

寒いと、ダニの動きが止まる

ダニは、冬にいなくなるわけではありません。でも、冷えると動きが止まるので、最初に落としたり、皮をはいだときに一緒に取れたりします。あたたかい時期に、ダニが動いている状態だと、感染症のリスクが出てきてしまいます。

駆除隊員になって、知ったこと

最初から知っていたわけではありません。狩猟免許をとって最初のうちは、狩猟期間である冬の間にさばいて、肉を食べていました。2年目、3年目に駆除隊員になり、夏場や春先にも獲れるようになって、「冬だけじゃなくて食肉にできるのかな」と調べ始めたのだそうです。

そして実際に自分で捕獲するようになると、病気になっている個体、痩せている個体、毛が抜け落ちてしまった個体、ダニがうようよ動いている個体を目の当たりにする。ネットに書かれているリスクは本当だったんだ、と体験として知ることになりました。

狩猟期間は、ハンターを守るためにある

だからこそ、狩猟期間の「整合性」がわかってきた、と狩猟おじさん。狩猟期間は、縛るためのものではなく、狩猟をする人を守るためのものでもあるのではないか。

あたたかい時期は、クマに襲われるリスクもある。ヘビや虫もいる。冬になれば、それらの動きは止まります。昔から、誰もが処理施設を持っていたわけではなく、自分たちで食べるために獲っていた。雪が降り、朝晩が凍えるほど寒い中でさばくのは、リスク管理として理にかなっている。カモなどの渡り鳥も、寒くなるとやってきます。鳥も四つ足の獣も、だいたいこの期間に食肉として獲る、というのは、やればやるほど理にかなっていると感じるそうです。

雪山をひとりで追う忍び猟

イノシシの猟には、みんなで追い込むのではなく、ひとりで雪山に入って足跡を何時間も追いかけ、動きの鈍くなったイノシシを仕留めに行く「忍び猟」という方法もあります。狩猟おじさんも一度やったことがあるそうです。

ただ、今季は一度も山に入っていません。あたたかくて雪がなかったから。雪がないのに山に入れば、今度は自分がひとりで襲われるリスクが出てくる。収録の前にどかっと雪が降って山は真っ白になりましたが、猟期の終わりまではあと1週間ほど。今季はあきらめることにしました。

それでも、小動物と鳥のお肉のストックがあり、ありがたいことに北海道から鹿肉なども送っていただいた。イノシシ肉は数か月分ほどしか残っていないけれど、それ以外はそこそこ確保できたので、よしとしよう、と笑います。

猟期のあとは、畑とミツバチ

猟期が終わってあたたかくなると、次は畑の準備です。3月の終わりごろからは苗を植えたり、夏の収穫に向けて畝を立てたり。有害駆除のわなを見回りながら畑作業をする、という季節に移っていきます。

そして去年から始めたのが、ミツバチ。巣箱を置いておいたら、たまたまミツバチが巣を作ってくれました。6段の巣箱のうち4段分に巣ができ、10月か11月ごろ、上の2段だけを切り取って蜂蜜を絞ったそうです。2段分だけでも、本当にたくさん採れたといいます。

冬に巣箱を開けて、刺された

残りの蜂蜜は、女王バチと働きバチが冬を越すためのもの。本当に越冬しているのかな、と巣箱を開けてみたら、ハチはすごく凶暴になっていて、色も少し黒っぽい。襲いかかってきて、あちこち刺されてしまったそうです。あたたかい時期に飛び回っているときは、素手でやっても刺されないのに。詳しい人に話したら、「冬に開けちゃだめだよ」と笑われました。餌が少なく、おなかを空かせているからなのだとか。

春の分蜂

春先にあたたかくなると、もとからいた女王バチが次の女王を決め、自分は仲間を連れて巣を飛び立っていきます。これが「分蜂」。新しい女王と働きバチが残るので、ひとつの巣は確定。飛び立った群れは、別の巣箱を置いておけばそこに入るかもしれないし、よそに行ってしまうかもしれない。越冬しているハチが残っているなら、今年も大丈夫だろう、巣箱をもうひとつ増やしてもいいのでは、と言われているそうです。

印象に残った一言

別に縛るもんじゃなくて、狩猟をやる人を守るためでもあったりするの。

前後の回

出演者

  • 狩猟おじさん:狩猟・作家・話師。福島で半自給自足の暮らしを送る。Instagram / note
  • 沢田隆志:移動販売の珈琲店「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。生まれてからずっと食べ物はお店で買ってきた都市育ち

番組と出演者の詳しい紹介は、GALATAの番組ページへ。