頭骨は、ぐつぐつ煮て白くする。スカルトロフィーづくりと、猟期が冬である理由|狩猟おじさんのおじラジ #29

狩猟おじさんのおじラジ #29 頭骨は、ぐつぐつ煮て白くする。 ポッドキャスト

第29回は、狩猟おじさんがジビエアクセサリーの販売ブースに飾っている、白い頭骨の話から。あの「スカルトロフィー」は、実は自分でつくっているもの。その方法は、想像以上にワイルドでした。

後半は、なぜ猟期が11月15日から3月15日という冬の時期なのか。解体のリスクや肉の質から、狩猟おじさんなりの考えを聞きました。

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この回の話題

時間話題
00:01わなにタヌキがかかったら
01:01年末に、若い人と小さなシカを解体
02:01ブースに飾る頭骨は、手づくり
03:01土に埋める方法と、その欠点
04:02白くするなら、外でぐつぐつ煮る
05:02水につける方法では、骨がもろくなる
06:02冷凍庫には、カモの頭が
07:03ハクビシンとアライグマ、どっちがどっち?
08:03ハクビシンもアライグマも、実は凶暴
09:05猟期が冬なのは、なぜ?
10:05鮮度が命、北海道は2時間以内
11:06ダニとの闘い、春は動物がやせる
12:06四つ足は3月15日まで
13:06雪の山へ、単独でイノシシを追う
15:09足跡をたどり、寝込みを狙う

わなにタヌキがかかったら

頼まれてかけているアライグマ用の小さなわなや、イノシシ用のくくりわなに、タヌキがかかってしまうこともあります。タヌキは狩猟鳥獣なので、猟期中なら食べることもできますが、狩猟おじさんは山に返しているそう。一度食べたことはあるものの、味はいまひとつだったとか。

ブースに飾る頭骨は、手づくり

年末には、北海道とは別に、知り合いのハンターが獲った小さなシカを1頭、自宅の解体場でさばきました。解体を見てみたいという若い人がいたからです。肉はほとんどあげて、その代わりに頭骨をもらいました。

その頭骨は、スカルトロフィーに。ジビエアクセサリーの販売ブースに飾ってある骨は、狩猟おじさんが自分でつくっているものです。包丁で肉を取っていっても、筋がこびりついてきれいにはなりません。

土に埋める

ひとつは、土に埋めて自然に分解させる方法。半年ほどかかるうえ、埋め方が甘いと小動物に掘り返されて持っていかれてしまいます。狩猟おじさんも一度失敗したことがあるそう。しかも、土の色が骨に染みついて、白くなりません。

ぐつぐつ煮る

ブースやインスタグラムで見られる真っ白な頭骨は、薪を焚いて、鍋でぐつぐつ煮込み、肉を少しずつ取っていったもの。ジビエを煮込むとにおいがすごいので、家の中ではなく外でやります。クマの手も、外で煮込んで肉と爪を取ったそうです。いただいた命だから、もったいない。

水につける

1か月ほど水につけっぱなしにして、腐敗させて溶かす方法もあります。ただ、同じ白い骨でも、もろくなってしまう。ログハウスの壁に飾ってあるような、強度のあるきれいなトロフィーをつくるなら、煮込むのがいちばん。それが、狩猟おじさんの出した答えです。

年末にさばいたシカの頭は、今も水につけたまま。寒くて凍っているので、においはしません。カモの頭も、頭のまま、家族の食料とは別の業務用の冷凍庫で冷凍してあります。

ハクビシンとアライグマ、どっちがどっち?

寒くてなかなか手が進まない中、やっとハクビシンとアライグマの頭骨が完成し、インスタグラムに投稿しました。ところが、骨にすると大きさも形もほとんど同じで、つくった本人ですら、乾かしている間にどちらかわからなくなりかけたほど。ちゃんと書いておかないとわからない、と笑います。

ハクビシンは、田舎よりも都市部での出没がニュースになるような外来の動物。空き家などに住みついてしまうこともあります。かわいい見た目に反して、ハクビシンもアライグマも、かまれると感染症の心配があり、暴れ出すとかなり凶暴です。アライグマも、アニメのキャラクターのようなかわいい生き物ではないそうです。

猟期が冬なのは、なぜ?

猟期が11月15日から3月15日までなのは、渡り鳥がやってくる時期など環境の理由もありますが、狩猟おじさんが思うのは、解体のリスクです。

鮮度が命

暖かい時期は、病気やダニのリスクがあり、肉の腐敗も早く進みます。北海道でシカの肉を買い取ってもらうには、仕留めてから2時間以内に搬入しなければなりません。それくらい、ジビエは鮮度が大事です。

鳥を吊るして1週間ほど熟成させるという人もいますが、狩猟おじさんはなるべく早く、とったその日のうちにさばいてパック詰めします。イノシシを吊るしておくと、虫が寄ってきて腐敗が進んでしまいます。

ダニとの闘い

去年、暖かい時期にクマをさばいたときは、ダニがすごかった。かまれないように、カッパのような服を着て、あちこちをビニールテープでぐるぐる巻きに。サウナ状態で汗をかきながらの作業で、二度とやりたくないと思ったそうです。

さらに春は繁殖期で、動物は体力を使ってやせていきます。逆に冬を前にした動物は、たくさん食べて体重を増やすので、脂がのって肉質もいい。食べる上でも、処理する上でも、冬は狩猟に適した時期なのです。

雪の山へ、単独でイノシシを追う

鳥の猟期は2月15日まで、イノシシなどの四つ足は3月15日まで。わなは期間中ずっとどこかでかかるので、狩猟をする人は、期限のある鳥から始めて、残った期間で四つ足を撃つ、という順番になりがちです。

2月後半には雪が降るはず。今シーズンはイノシシをさばいていないので、冬の山に一人で入ろうかと考えています。チームで追い込んで撃つ「巻き狩り」は、近所の猟友会ではやっておらず、隣の市のチームに混ぜてもらうしかないけれど、日程を合わせるのが難しい。

足跡をたどり、寝込みを狙う

単独でのイノシシ猟は、雪の上の足跡をたどって、獲物が身を隠している寝床を探し、何時間も歩いて寝込みを狙うというもの。確率は非常に悪く、冬山登山をしに行くようなものです。仕留めても引きずって帰れない場合は、その場で解体して、肉だけを担いで帰ってくることもあります。

それでも、1頭くらいは、と狩猟おじさん。ちなみに北海道からは、ありがたいことに正月分の肉も送ってもらったそうです。

印象に残った一言

だって、もったいないでしょ。

前後の回

出演者

  • 狩猟おじさん:狩猟・作家・話師。福島で半自給自足の暮らしを送る。Instagram / note
  • 沢田隆志:移動販売の珈琲店「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。生まれてからずっと食べ物はお店で買ってきた都市育ち

番組と出演者の詳しい紹介は、GALATAの番組ページへ。