第33回は、前回のハクビシンを食べてみた話の続きから。獲れた肉に合わせて調理法を考える、ジビエならではの楽しさの話をしたあと、話題は猟期が終わったあとの「有害鳥獣駆除」へと移りました。
趣味としての狩猟とは違う、地域のための駆除の仕事。その仕組みと、70〜80代が中心になっているハンターの高齢化。そして、福島県でも億を超える農作物の被害がある中で、狩猟おじさんがジビエを食べる理由を聞きました。
Spotify、Amazon music、Apple podcast、Audible、stand.fm、YouTube にて配信中!
この回の話題
| 時間 | 話題 |
|---|---|
| 00:00 | 肉に合わせて、調理法を考える楽しさ |
| 01:00 | どんな肉が獲れるかわからない |
| 02:00 | ハクビシンは、塩こしょうで焼くだけで |
| 02:30 | 同じ動物でも、獲れた場所で違う |
| 03:02 | 東京にはカラスの専門店も |
| 04:02 | 猟期が終わると、有害鳥獣駆除へ |
| 04:30 | 駆除の対象になる動物 |
| 05:09 | 狩猟期間とは何か |
| 05:40 | 鳥は、愛鳥週間が終わってから |
| 06:10 | 許可には、獲る種類と数が決まっている |
| 07:13 | 駆除隊員の高齢化 |
| 08:13 | 50代でもいちばん若い方 |
| 09:13 | わなは体力がいる |
| 10:13 | 以前は順番待ちだった駆除隊 |
| 11:19 | 趣味ではなく、地域のための仕事 |
| 12:22 | 増えすぎる動物と、生態系 |
| 13:24 | クマが人里に出てくる理由 |
| 14:25 | それでも、ジビエを食べる理由 |
肉に合わせて、調理法を考える
買ってきた肉なら、焼くだけでいつも同じ味になる。でもジビエは、どんな肉が獲れるかわからない。硬ければ圧力鍋でやわらかくするか、煮込むか。においがきつければカレーにするか、香りの強いものと合わせるか。実験のように試行錯誤するのも、ジビエの楽しみのひとつだと狩猟おじさんは話します。
前回食べたハクビシンは、どうしようもなかったときのために調味料もいろいろ用意していたのに、塩とこしょうで焼いただけでおいしく食べられたそう。ただ、同じ動物でも個体差があり、獲れた場所によっても違うはず。都会の空き家にいるハクビシンと、山で獲れたものは違う気がする、と狩猟おじさん。東京にはカラスを出す専門店もあるそうですが、使うのは山の中で獲れた、より自然のものを食べているカラスなのだとか。
猟期が終わると、有害鳥獣駆除へ
3月15日に猟期が終わると、本格的に有害鳥獣駆除が始まります。狩猟期間は、趣味として狩猟をしていい期間。一方、駆除隊は、駆除の対象となる動物を、期間外でも許可を得て捕獲します。対象の動物なら、狩猟期間中に獲っても報奨金の対象になるそうです。
狩猟おじさんが活動する地域では、イノシシ、アライグマ、アメリカミンクが、ほぼ通年の対象。ハクビシンは期間限定。鳥ではカルガモとカラスが対象です。
愛鳥週間への配慮
カラスやカルガモの駆除は、有害鳥獣駆除でありながら、ちゃんと愛鳥週間が終わってから許可が下りるのだそう。許可証には、獲っていい種類と数が決められていて、駆除隊員がその数を獲れば終わり。期間内に獲りきれなければ、延長されることもあります。農家の多い地域では、それだけ被害があり、数を調整してほしいという声があるのです。
70〜80代が中心のハンター
一方で、担い手は減り続けています。今年も、狩猟おじさんの周りで、高齢のためにお亡くなりになった駆除隊員がふたりいたそうです。周りはほとんど70代、80代。50代の狩猟おじさんが、いちばん若い方。20代、30代はひとりもいません。
銃は、撃つことは頭でできても、わな猟は体力がいります。獲物がかかったら止め刺しをして、引っ張り出す。わなをかける場所も、人がなかなか踏み入らない一歩先。高齢になるほど、つらくなっていきます。
今は「鳥獣被害対策実施隊」と呼ばれる駆除隊は、猟友会の推薦で選ばれ、市ごとに人数の枠が決まっています。かつては、なりたくても枠がいっぱいで順番待ちの時期もあったのに、今は枠が埋まる地域のほうが少ないのではないか、と狩猟おじさん。
趣味ではなく、地域のための仕事
狩猟というと、趣味の世界のイメージが強いかもしれません。ハンティングを楽しむだけなら「動物を殺してどうなのか」となる。でも、有害鳥獣駆除は、人と動物の境界を越えてきてしまった動物による被害への対策です。福島県でも、動物による農作物の被害額は億を超えるといいます。農家の人にとっては死活問題。それを、資格を持ち、任命を受けた人が担っているのです。
増えすぎる動物と、生態系
自然の中でも、シカが増えすぎて草を食べ尽くしてしまえば、ほかの動物に影響が出るため、数の調整が必要になります。福島県ではあまり見ませんが、地域によっては大きな問題になっています。
去年話題になったクマも、山の高いところでドングリが減り、おなかをすかせて人里に下りてきたといわれます。でも、なぜドングリが減るのか。季節のめぐりだけなら、昔から数年に一度クマが人を襲っていたはず。そうではない環境になってきているのには、いろいろな原因があるのだろう、と話します。
それでも、ジビエを食べる理由
こうした発信をしていると、「わざわざそれを食べる必要があるのか」と言われることもあるそうです。狩猟おじさんも、スーパーの肉を食べるし、外でステーキも食べる。それでも「それだけ食べていればいいんじゃないの」と言われると、ちょっと待ってほしい、と思う。
家畜だって、無限にあるものではなく有限。何かが起きたときに、こういうものも食べられる、こういうこともできる。そう考えたときに、ジビエもひとつの選択肢なのだと、狩猟おじさんは話します。
印象に残った一言
本来、家畜だって無限にあるものじゃないでしょっていう。何かことが起こったときに、こういうものも食べれるよっていうことも踏まえたら、ジビエも1つの選択肢なんです。
前後の回
- 前の回:海ガモとハクビシンを食べてみた|#32
- 次の回:#34「狩猟期間の設定は何のため?」(近日公開)
出演者
- 狩猟おじさん:狩猟・作家・話師。福島で半自給自足の暮らしを送る。Instagram / note
- 沢田隆志:移動販売の珈琲店「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。生まれてからずっと食べ物はお店で買ってきた都市育ち
番組と出演者の詳しい紹介は、GALATAの番組ページへ。
