1発500円の弾を撃って、外して終わることもある。ハンターを増やすには、構造を変えなければ|狩猟おじさんのおじラジ #17

狩猟おじさんのおじラジ #17 ハンターを増やすには構造から ポッドキャスト

第17回は、第14回の銃と弾の話の続き。狩猟にかかるお金のリアルを聞きました。

クレー射撃の練習で数千円、獲物を撃つ弾は1発数百円。資格を取るにも、道具をそろえるにも、腕を磨くにもお金がかかる。「ハンターを増やせ」と言われても、なかなか増えない理由が見えてきます。狩猟おじさんが考える、ハンターを増やすために必要なことの話です。

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この回の話題

時間話題
00:11多い週は500発撃つことも
00:11スラッグ弾は1発350〜500円
01:10クレー1ゲームで数千円
02:09外して終わることもある
03:04資格を取るまでにかかるお金
04:01若い人にやってほしいけれど
04:57道具も練習もお金がかかる
05:54高齢化は、制度的な運命
06:53命もお金もかけているのに、趣味で片づけられる
09:55クマ問題で、駆除が持ち上げられるようになった
10:50本職があるから続けられている
11:48実施隊は2年ごと。実績がなければ解除
12:47職業として成り立つ仕組みを
14:44ハンターを増やすには、構造を変えないと
16:42今いるハンターを守らなければ

弾代のリアル

狩猟おじさんたちは、クレー射撃場に通って、多い週には500発くらい撃つこともあるそうです(放送では「1回で」と話していましたが、第20回で「1週間で」の言い間違いだったと訂正されています。1日に撃てる弾の数には上限があります)。クレー射撃は1枚の皿に2発まで撃てるので、25枚で最大50発。今は1発60〜70円なので、1ゲームで3000〜4000円ほどかかります。

獲物を撃つスラッグ弾は、今1発350〜500円ほど。ライフル弾になると800円から1000円近く。昔は「1発撃つたびに缶ジュースが飛んでいく」と冗談を言っていたのが、今や「ちょっとしたお弁当代」です。練習で腕を磨いても、猟で一発で仕留められるとは限らない。数百円の弾を何発も撃って、外して終わることもある。それがいちばん悲しいパターンです。

資格を取るまでにもお金がかかる

銃の所持許可を取るまでに10万円ほど、狩猟免許も1つ取るのに4万円ほど。さらに3年ごとに更新料もかかります。

若い人にやってほしいけれど

狩猟おじさんのトークは、若い人や子どもに聞いてほしい。20歳から取れる資格を、若いうちから取ってほしい。でも、もし若い子が「やりたいです」と言ってきても、手放しでは喜べないそう。資格を取っても、道具にお金がかかる。道具を持っていても、使いこなせなければ意味がない。動くものを撃つには練習が必要で、そこにもまたお金がかかる。

そうなると、仕事をしてある程度余裕ができる年齢にならないと始められない。そこから何年猟ができるのか。高齢化は、制度的に避けられない運命のようなものだと狩猟おじさんは言います。30代で数十万円の銃を持ち、1回の猟に数万円かけるのは、趣味の域でも厳しい。お金の話をすると、半自給自足の魅力を伝えるはずがテンションが下がるかも、と思いつつ、これが現実だそうです。

命もお金もかけているのに

クマの問題で、猟友会がボイコットするという報道がありました。命をかけているだけでなく、お金もかけている。なのに、自分には何も入ってこない。それを「お前らは趣味でやってるんだろう」で片づけられてしまう。競技射撃ならまだしも、有害鳥獣の駆除となると、支出と収入のバランスがあまりにも合わない。メディアは1丁いくら、1発いくらという細かいことは報じないけれど、そういう現実があるからこそ、反発したくなったのでは、と狩猟おじさん。

「撃ってくれ」と言われても、外したら何百円、何千円。身の危険も誰が補償してくれるのか。撃てば撃ったで批判も来る。今年はクマが一気に注目され、これまで悪いイメージもあった駆除が、持ち上げられるようにさえなってきた。緊急銃猟も含めて、国もハンターを持ち上げている。それでも、ハンターが「俺がやるぜ」と勢いよく立ち上がるという報道はあまり聞かない。その理由は、なんとなくわかる、と隆志さん。

本職があるから、続けられている

狩猟おじさんが「半」自給自足と言っているのは、本職を持ちながらやっているから。それがなかったら、やれていない。物価も資材も上がる中で、娯楽の一環で3丁もの銃を持ち続けられたかどうか。

少しでも収入を得ようとすると、有害鳥獣駆除の実施隊に任命されて報奨金を得ることになる。でも報奨金を得るには獲物を獲らなければいけないし、そのためにはスキルを上げなければいけない。実施隊の任期は2年で、実績がなければ任命を解除されることも。またお金がかかるサイクルです。

職業として成り立つ仕組みを

クマを駆除してくれ、ハンターが足りない、ハンターを増やそう。世の中がそう言っているのなら、猟師という仕事が存在する以上、セレブになれるとは言わないけれど、ちゃんと収益として、費用対効果として合うところまで持っていく必要があるのでは、と狩猟おじさん。スキルと資格と、今で言えばお金が伴わないと、クマもイノシシも獲れない。それができる人が、資格と道具を持ち続けられるくらいの費用は担保されるべき。そうでなければ、今持っている人ですら手放していくことになる。

ハンターを増やすには、構造を変えないと

イベントでは、狩猟の魅力や、農業被害を守る、自然とのバランスを取るといった意義が語られる。でも狩猟の世界に入れば、本当に生き物を殺し、血の流れるものを自分で処理しなければいけない。その現実と、道中ずっとかかっていくお金。この2つを理解したうえで、それでもやめられないから、別の仕事で稼いででも続けている人たちが、今もいる。

若手を優遇して補助を出しても、育てる人がいなければ、1年目からいきなり猟師として成功するわけではない。わなのかけ方も銃の撃ち方も、教えてくれる人が必要です。だからこそ、今いるハンターを守っていかなければいけない。リアルな現実とお金のことも、そろそろ世の中にもっと出ていっていいのでは、と狩猟おじさんは言います。

印象に残った一言

命かけてもそうだけど、お金もかけてるわけ。それを趣味でやってんだろうだけで片づけられちゃうのは、ね。

前後の回

出演者

  • 狩猟おじさん:狩猟・作家・話師。福島で半自給自足の暮らしを送る。Instagram / note
  • 沢田隆志:移動販売の珈琲店「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。生まれてからずっと食べ物はお店で買ってきた都市育ち

番組と出演者の詳しい紹介は、GALATAの番組ページへ。