半自給自足の暮らしって、実際はどんな毎日なのか。第2回は、狩猟おじさんの1日を聞きました。
起きるのは午前3時。最初の仕事は、畑を荒らす動物を捕まえる罠の見回りです。そこから話は、動物との知恵比べ、そしてあまり知られていない「有害鳥獣駆除」の仕組みへ。写真、書類、尻尾。一匹の駆除にどれだけの手間がかかるのか、現場の声をお届けします。
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この回の話題
| 時間 | 話題 |
|---|---|
| 00:33 | 前回のふり返り。じゃあ実際どんな生活? |
| 01:04 | 沢田の1日。起きるのは9時 |
| 02:08 | 狩猟おじさんの1日。起きるのは3時 |
| 05:16 | 冬でも朝4時、5時。狩猟は日の出から日の入りまで |
| 06:32 | 福島の狩猟期間は11月15日から3月15日 |
| 07:00 | トウモロコシを狙うアライグマとタヌキ |
| 07:33 | 箱罠とくくり罠 |
| 08:23 | 動物が罠にかかるのは夜中から明け方 |
| 09:18 | かかったあとの「処理」と書類 |
| 11:08 | 動物もバカじゃない。罠は知恵比べ |
| 12:55 | 罠はホームセンターでも売っている |
| 13:38 | 「狩猟」と「駆除」は別物 |
| 14:13 | 報奨金と、尻尾の提出 |
| 15:25 | アライグマ1匹、いくら? |
| 16:34 | 穴を掘って埋めるところまで |
| 17:41 | 駆除だけでは暮らしていけない |
正反対のふたりの1日
まずは聞き手・沢田の1日から。9時ごろに起きて、珈琲屋の準備をし、クーラーの効いた部屋で自分の仕事。お昼は近くのパン屋さんで買い、夜はスーパーで食材を買ってなんとなく料理する。その繰り返しです。
一方、狩猟おじさんの1日(本業がない日)はこうです。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 午前3時ごろ | 起きる(夏。冬は4〜5時ごろ) |
| 午前4時ごろ | 駆除を頼まれている畑の罠の見回り |
| そのあと | 自分の畑(2か所)で収穫、草むしり、水やり。ここまでで2、3時間 |
| 朝 | 朝ごはん |
| 日中 | イベントや依頼があればその活動。なければ、暑い時間は外に出ず、保存食づくりやものづくり |
| 夕方 | もう一度、罠と畑を確認 |
| 午後6時ごろ | 晚ごはん |
| 午後8時ごろ | 就寝 |
「昔の田舎のおじちゃん、おばちゃんの生活みたい」と狩猟おじさん。この番組の収録は午前10時ごろですが、沢田は起きてギリギリ、狩猟おじさんはもうひと仕事終えてきたところ。まさに正反対です。
狩猟は、日の出から日の入りまで
早起きは狩猟のルールとも関係しています。銃を使う狩猟ができるのは、日の出から日の入りまで。冬の日の出は午前6時40分ごろなので、獵場まで車で1時間かかるなら、5時半には準備して出発します。獲物がエサを食べに出てくる朝方を狙うためです。福島の狩猟期間は、11月15日から3月15日まで。
罠の見回りは、動物との知恵比べ
狩猟期間以外の今は、「有害鳥獣駆除」の期間。狩猟おじさんは、近所の3軒ほどから「畑の作物がやられるので罠をかけてほしい」と頼まれています。
この時期、夏野菜でいちばん狙われるのはトウモロコシ。犯人はアライグマやタヌキです。ネットをかけても、下や隙間から入り込まれてしまうそうです。
- 箱罠:ネズミ取りを大きくしたような箱。中にエサを入れて通り道に置き、入るとパタンと扉が閉まる
- くくり罠:山の獣道に仕掛けるワイヤーの罠。足で踏むとワイヤーが跳ね上がり、足をくくる
動物が畑を荒らすのは、人の気配がない夜中から明け方。人通りが多くなる時間には引っ込んでしまうので、罠にかかるのもたいていその時間です。だから朝一番に見回ります。箱罠に一匹入っていると次はかからないので、できればその場で処理して仕掛け直したいそうです。
動物もバカじゃない
実際に罠にかかるのは、一年を通して数匹ほど。不思議なもので、毎日のように被害があって罠をかけると、ぴたりと来なくなることもあるといいます。見慣れないものが置かれると「何かおかしい」と警戒する。足跡を見て罠を置いても、違う方向から入られてしまう。まさに知恵比べです。
とはいえ、罠をどんどん増やせるわけでもありません。狩猟おじさんの暮らす市では、駆除を任された人が罠を自分で用意します。小さな箱罠なら、ホームセンターの農業資材の売り場でも売っているそうです。「知らんかった!」と沢田。
「狩猟」と「駆除」は別物
狩猟期間の狩猟は、資格を取った人が山に入って獲物をとる、いわば趣味の世界。一方、有害鳥獣の駆除は、市町村から任命されて行うもので、狩猟おじさんいわく「市の準職員のような扱い」です。
- 保険は市がかけている
- とっていい動物の種類と期間が、動物ごとに決められている
- 駆除すると報奨金が出る
報奨金が出るぶん、ルールは厳しいものです。写真を撮り、どこで捕まえたか地図を付けて書類をつくる。一匹につき、結構な枚数になるそうです。さらに、使い回しができないように尻尾を切って提出し、市の職員が確認します。最後は穴を掘って埋めるのがルール。大きなイノシシでも、自分で穴を掘らなければいけません。
アライグマ1匹、いくら?
「これだけの作業なら、1匹5万円くらい?」と予想した沢田に、狩猟おじさんの答えは「2000円、3000円」。イノシシでも、狩猟おじさんの市では2万3000円ほどだそうです。市町村によって多少の差はあるものの、何倍も違うわけではありません。北海道で「クマの駆除が割に合わない」というニュースがあったのも、こうした事情があるからです。
動物だって生きるために知恵を絞っている。一人で年間何百匹もとれるものではなく、駆除だけで暮らしていくのは難しい。それも、担い手が増えない理由の一つなのかもしれません。
※報奨金の額や手続きは市町村によって異なります。数字は収録時の狩猟おじさんの発言です。
印象に残った一言
動物だって、やっぱり生存しなきゃいけない。その中での知恵比べなんです。
出演者

- 狩猟おじさん:狩猟・作家・話師。福島で半自給自足の暮らしを送る。Instagram / note
- 沢田隆志:移動販売の珈琲店「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。生まれてからずっと食べ物はお店で買ってきた都市育ち
番組と出演者の詳しい紹介は、GALATAの番組ページへ。
