郡山の市街地にクマが出た。「緊急銃猟」の仕組みと、撃つ側のリスク|狩猟おじさんのおじラジ #36

郡山の市街地にクマが出た。「緊急銃猟」の仕組みと、撃つ側のリスク ポッドキャスト

第36回の収録は4月8日。その前日、郡山の市街地にクマが出たというニュースが福島県内を駆けめぐりました。周りには幼稚園や小学校もある住宅街。川沿いのやぶに逃げ込んだまま出てこず、「緊急銃猟」の態勢が整えられていると報じられていました。

緊急銃猟とは、どんな仕組みなのか。誰が判断し、誰が責任を負うのか。街なかで撃つことには、どんなリスクがあるのか。猟友会の一員として説明会にも参加してきた狩猟おじさんに聞きました。

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この回の話題

時間話題
00:30郡山の市街地にクマが出没
01:30緊急銃猟の態勢へ
02:00二本松でも説明会があった
02:40郡山では想定訓練も
03:10外出を控えて、通行止めも
03:50夜間も撃てる、ただし訓練を受けた人だけ
04:30夜は背景が見えない
05:00跳弾の怖さ
05:50北海道のケースと、責任の所在
08:00判断するのは市町村、責任も市町村
09:00ライフルではなく、散弾銃のスラッグ弾
10:00撃つ側は、近づかなければならない
10:40やぶにいるうちに、撃つしかない
11:30緊急銃猟は、わなの免許だけでは無理
12:00駆除隊の任期が延長に
12:20報奨金の対象にクマが加わった
12:40クマは箱わなで
13:10有害駆除の対象と、とり方
13:50大きな箱わなを譲ってもらった
14:30くくりわなにクマがかかったら?
15:00「錯誤捕獲」と報奨金

郡山の市街地にクマが出た

クマが出たのは、郡山の中でもかなり都会の、住宅街。やぶに追い込んだものの出てこず、収録当日の朝からは緊急銃猟の態勢を整えている、というニュースが流れていました。近くに住む友人によると、車を移動させようと外に出ただけで「外に出ないでください」と言われ、帰ろうとしたら通行止め。かなりの影響が出ていたそうです。

去年、北海道などでクマの出没が相次いで話題になり、緊急銃猟の仕組みができました。狩猟おじさんが所属する二本松でも、去年のうちに説明会があったそう。仕事中に急に呼ばれても行けるのか、競技用の銃ではスラッグ弾が撃てないなど、どんな銃を持っているのかを聞き取るような内容だったといいます。郡山では、去年のうちに猟友会がクマが出たときを想定した訓練も行っていたと聞いているそうです。

夜は、背景が見えない

今回の緊急銃猟は、夜間も撃てるようになっているそう。ただし、夜間に撃てるのは、そのための訓練と試験を受けた人だけ。狩猟が認められているのは日の出から日の入りまでで、夜の訓練ができる場所は、全国でもわずかしかないといいます。

昼と夜では、見え方がまったく違う。いちばん怖いのは、背景が見えないことです。

跳弾の怖さ

外した弾が土手の硬いところに当たると、跳ねてどこかへ飛んでいってしまう。竹や木も弾をはじき返すので、木の隙間を狙ってきちんと撃たなければならない。自分が撃った弾が返ってくることもありえるのだそうです。

責任は、撃つ側にはない

北海道では、自治体の要請でクマを撃ったハンターが猟銃の所持許可を取り消され、裁判になったケースがありました。後ろにバックストップがあっても、その向こうに民家があれば、跳ねた弾が届く可能性はゼロではない、と問題にされたのです。

緊急銃猟の仕組みをつくるにあたっては、このことが大きな議論になりました。街なかで撃っていいとして、誰が責任を取るのか。狩猟おじさんたちが説明を受けたのは、緊急銃猟は撃つ側の責任ではない、ということ。判断するのは警察ではなく市町村で、今回なら郡山市。万が一、物を壊したり誰かを傷つけたりしても、市町村が補償する。責任を負わせないから出動してほしい、という仕組みです。それだけ、クマが街なかで人を襲うようになり、なんとかしなければならなくなったということでもあります。

ライフルではなく、スラッグ弾

緊急銃猟で想定されているのは、ライフルではなく、散弾銃で撃つ鉛の一発弾「スラッグ弾」。ライフルの弾は獲物を突き抜けてしまうけれど、スラッグ弾は中で潰れて貫通しにくい。威力の差は、その分近づくことで補う。つまり、撃つ側は離れたところから安全に撃てるわけではなく、近づいていかなければならないのです。

民家しかない街なかで、見えたから撃つ、というわけにはいかない。土手の下のやぶに隠れているうちに、周りの車や人を止めて、撃つしかないのではないか、と狩猟おじさんは話していました。

報奨金の対象に、クマが加わった

緊急銃猟には、わなの免許だけでは参加できません。一方、狩猟おじさんは二本松市の有害鳥獣駆除隊の隊員で、2年の任期が今年延長になり、任命状が届いたばかり。今年から、有害鳥獣の報奨金の対象にクマが加わったそうです。

ただし、クマは銃で撃つのではなく、大きな箱わなで捕獲したものが対象。狩猟おじさんの地域で今、対象になっているのはアライグマ、アメリカミンク、イノシシで、これらはわなで捕獲し、仕留めるときには銃を使えます。愛鳥週間が終わると、田んぼを荒らすカラスやカルガモの駆除も始まり、こちらは銃で行います。

近所でクマが4〜5頭出たという話もあり、狩猟おじさんは大きな箱わなを譲ってもらったそう。今はくくりわなを10か所ほどかけています。去年は、狩猟おじさんの地域でもクマの足跡が見つかりました。

くくりわなに、クマがかかったら

では、イノシシをとるためのくくりわなに、間違ってクマがかかってしまったら。これを「錯誤捕獲」というのだそうです。箱わなで捕獲した場合は、決められた写真を撮って申請すれば報奨金が出る。錯誤捕獲の場合は、まず役所に電話をして立ち会ってもらい、そのうえで仕留める。そして、報奨金の額が減るのだとか。なぜ差がつくのか。その話は、次回に続きます。

印象に残った一言

緊急銃猟に関しては、撃つ側の責任じゃないと。判断するのは市町村なんですよ。

前後の回

出演者

狩猟おじさん
  • 狩猟おじさん:狩猟・作家・話師。福島で半自給自足の暮らしを送る。Instagram / note
  • 沢田隆志:移動販売の珈琲店「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。生まれてからずっと食べ物はお店で買ってきた都市育ち

番組と出演者の詳しい紹介は、GALATAの番組ページへ。